Nuw Mouse の由来 その2

デビューとネーミング

その実践デビューはというと、それまで私自身も試投とアクションテストのみで釣果は無かったのだが、それは突然に、かつ密かに、私以外の釣り人による試し釣りという形ではじまった。

岐阜の故河合良成氏にアングラーをお願いしてはじめてテレビ(某国営放送局)の取材を受けた日のこと。カメラが止まった後の流れで彼にこの「ネズミ似のプラグ」を手渡し使って貰った。彼も始めて見るその姿に興味津々で、すぐさま投げては楽しげに笑みを浮かべながら「うん、うん」と呟き、そして夢中になってアクションを試していた何投目かに1尾を釣り上げてしまった。そして私に囁いた。
「これおもしろい! 良い意味でやっちゃったかも知れないね」
「このプラグの良いところは誰が使っても同じようなアクションが出せること」と評した。
私はこれまでの試行錯誤の思いを心の隅に押し込み、素直に嬉しく思った。

ネーミング

私と河合氏はこの日の為に前もってロケ地の溜池を探していた。
幾つかの野池と川を回って堤防を車で走っていた時のこと、眼下左に見える小さい池に、私はそれまでに見たことのない大きな生物(ケモノ)が悠々と泳いでいるのを見つけた。
驚いて思わず「あれは何?」と河合氏に尋ねた。「あ、あれはヌートリア、見たことない?僕たちはヌーって呼んどるよ」という答え。
こんな他愛もない会話だったが、私には初めて実物を目の当たりにしたヌートリアのインパクトが強く、彼等が呼んだ「ヌー」を使って「Nuw Mouse ヌーマウス」と名前を付けた。

実はNuw Mouseが現在の仕様になるまでに少し変遷があり、当時の私はダブルフックを入手する術を持っておらず、トリプルフックを使っていた。河合氏の実釣もトリプルフック2本だったし、発売当初はトリプルフック3本といった仕様だった。

Budd&Joey Nuw Mouse 33
Budd&Joey ヌーマウス 33
Budd&Joey Nuw Mouse 22 & Kid 22
Budd&Joey Nuw Mouse 22とKid 22

しかしこれでは210サーフェスのような障害物をクリアーする能力は備わっておらず、当初の構想はまだ満たしていなかった。のちにマスタッド7826のダブルフックを入手することができるようになりその思いは達成することができたが、中には当初のトリプルフック3本仕様の方がダブルフック2本仕様のものより好きだと言われるユーザーの意見もある。

後の逸話として、発売当初はショップなどへの問い合わせの折、その見た目から「ホッパーですか?」「いいえ、ペンシルです」とプラグのカテゴリーがどれに属するのか判断が微妙だったことから苦慮されたようだった。どこかのショップのオーナーが使われた「テーブルターン」と言うアクション表現はNuw Mouseがきっかけだったように記憶している(私の記憶違いかもしれません)。

たまに「作っているプラグの中でイチオシは?」と問われることがあり、その時は思わず「Nuw Mouse」と答える。今でも良い季節の夕暮れ時のオカッパリにはロッド1本にネズミを一匹結んで出かけてしまう。